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本当に「筆者」を使うWebライターは素人丸出しなのか聞いてみた

大橋博之
「筆者」を使っている原稿を読むと『ああ、素人だな』と思う。そう思うのは僕だけだろうか?知り合いにいろいろと聞いてみた。

新聞社の記者は「筆者」をどう思っているのか?

「筆者」を使うWebライターは素人丸出しだから、やめたほうがいい
と書いたところ、反論をいただいた。

その方の言い分では「新聞などのコラムでは「筆者」表記が一般的だと思います」とのこと。その例として日本経済新聞社の記事一覧のURLがあった。
見るとなるほど、使っている。
僕は「雑誌や書籍、いわゆるペーパーメディアで「筆者」なんてのはまず、使わない」と書いたが「新聞」は盲点だった。

なので、僕が「未来の風景SFアート十選」という連載を掲載してもらったことのある、某新聞社の文化部の記者に電話して「筆者」表記が一般的か聞いてみた。

「筆者ですか?使う分には別にかまわないんですけど、僕個人としては一人称は使わないですね。それに「筆者」と書くなら「私」としてくれた方がいい。新聞って極力、文字を削りたいんですよ。だから二文字の「筆者」より、一文字の「私」や「僕」の方が助かりますね。筆者を使うのは自分のことを指すのではなくて「あの筆者は」とか他の人を指すことが多いです。別に新聞社では「筆者」表記は一般的ではないですよ。使う記者もいますけどね」

とのこと。
つまり、その記者は、使う分にはかまわないけど、一般的でも推奨しているわけではない、ということ。
もちろん、この意見は新聞社を代表する意見ではない。あくまでもいち記者の意見。他の人に聞けば違うことを言う可能性はある。

じゃ、出版関係者は「筆者」をどう思っているのか?

ついでにプロとしてやっているコラムニストや小説家、翻訳家、編集者などはどうしている?というのを直接、聞いてみることにした。

ある小説家の意見。
「筆者ですか?使う分に別にいいんじゃないですか。あまり気にしたことないですね。僕ですか?使わないですね」

ある翻訳者の意見。
「筆者?使うのはいいんじゃない。俺?使わないね。「私」に凝ってた時期があったけど、今は一人称は使わないね。使わなければいけないときはその原稿のイメージに合わせて「私」とか「僕」とかにするかな」

ある評論家の意見。
「筆者?使う分にはいいとは思いますよ。私ですか?あまり使わないですね。筆者って古い感じがするし、そもそも筆で書いてないんだから筆者はおかしいでしょ。打者とかキーボード者の方が正しいんじゃないですか(笑)」

ある編集者の意見。
「筆者?使うことはありますよ。使うのに問題はないと思います。どれにでも「筆者」を使うんじゃなくて、原稿に合わせてですね。人によっては「小生」を使う人もいますよね」

ある出版社の編集者の意見。
「筆者?いただいた原稿に筆者とあっても別にかまいません。直すということはしません。でも、筆者と書いてきた人、見たことないですね。筆者って古くないですか?ネットに多い?へぇ、知らなかった。でも、筆で書いてないのに筆者はへんじゃないですか?」

と数名に聞いて回ったのが以上のコメントだ。
まとめると、筆者と使う分には別にかまわない。ただし、自分では使わない。使う時は書くものの雰囲気に合わせる。という感じ。筆者は古いというイメージを持っている、という人も多かったのはちょっと意外だった。

ということで、僕としては「筆者は使ってもよい」と訂正。ただし、雑誌や書籍、新聞でも書きたいと思うのなら一般的でもなんでもないし、使わない方がよい、というのは単なるアドバイス。使ってこの人、古臭いと思われてもいい、というのなら使えばいいじゃないだろうか。

また、何でもかんでも筆者とするのはやっぱりセンスがない、とは言える。
エンタメ系、美容とかファッションで筆者はやっぱりヘン。
そのWebメディアのテイストが「筆者」が合うなら使っていいんじゃない、というところ。

まあ、使いたければ使えばいいが結論。
ただし、僕は使わないし、僕は「筆者」となってるのは「私」や「僕」に変えるというスタンスにかわりはない。

大橋博之
フォークラス・メディア編集部【ライター・エディター・プランナー】『Webライター入門』(技術評論社)を監修。著書に『SF挿絵画家の時代』(本の雑誌社)、『心の流浪 挿絵画家・樺島勝一』(弦書房)などがある。 twitter@garamonmini
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