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原稿を修正して怒るWebライターに編集者として言いたいこと

大橋博之
「書いた原稿を修正された!」と怒るWebライターはけっこう多い。修正されるのが嫌なら自分のブログだけで書いていた方がいい。

ちょっとした想い出から

僕がライター・編集者という仕事をスタートさせたのは、徳間書店から刊行されている『アニメージュ』という雑誌からだった。今は知らないが、その頃の『アニメージュ』は編集長、デスク(副編集長のようなもの)、編集者がいた。僕は編集者のアシスタントのような役割だったが、企画提案から取材、原稿執筆、デザイン出し、入稿作業、校正、校了まで一冊の雑誌ができる総ての工程に携わり、多くのことを学んだ。今でもムックや書籍を作ることが出来るのもその時の経験のおかけだ。

『アニメージュ』では原稿を書くと校正が出てきて赤字を入れて戻す。ただし、雑誌が完成するまでの間に編集者が赤字を入れ、最終的にデスク、編集長が赤字を入れる。ひどい原稿は書き直されることもあったが、それがすごく勉強になった。

ある先輩は、捨てられた赤字の入った自分の書いた原稿を拾ってきて、どこが直されたのか?を見て勉強している、と言っていた。
『アニメージュ』でライター・編集者を経験してきた僕にとって、自分の原稿に他の人の手が加わることは、そんなものだと思っているし、嫌だとは思わない。
出版社では何重ものチェックを入れて記事の精度を上げていくのが普通だからだ。

もっと良くしたいと思う気持ち

今、僕は編集者として原稿に赤字を入れて修正している。すると、その赤字に不服を言われることがある。
僕が赤字を入れるのは誤字脱字はもちろんのこと、『こうした方がこの原稿は良くなる』と思ってのことだ。
だから、Webライターも自分の原稿が修正されたら、修正されたところを読んで『なぜ、修正されたのか?』を考えて欲しいと思う。

あるWebライターは「自分の原稿におやじギャグを入れられた」と怒った。「しかも、笑えない」と。笑えないおやじギャグで申し訳ないが、原稿を読んでの流れでクスッと笑える箇所が欲しかった、という気持ちだった。
だから、おやじギャグを入れられたから怒る、「元に戻せ!」というのではなく、『ここに笑わせる要素が足りなかったんだ』と思った方が良いと思う。

あるWebライターは赤字を入れると「赤字のままでOKです」と言ってくる人が多い。
見直しをしているのか?と不思議に思う。

編集者によってカラーがある。ライターとして書いた僕の原稿が直されることもある。他の人の原稿に赤字を入れている僕の原稿が完璧なわけでもない。原稿を読む人になって赤字の入れ方は違う。

ライターとしての僕は基本、赤字の指示が入って来たらその通りに直す。もちろん、そのままではなくて良くできるところはする。
僕は修正の指示は嫌いではない。面倒だとも思わない。むしろ大歓迎。要求に対して『よし!もっとよくしてやろう』と思う。闘志がわく。
自分の書いた原稿はいくらでも修正できる。もっと良くしたいと思うから。

締切があるからそこで終わりにするが、直し出したらきりがないくらい直すことは可能だ。
ペーパーメディアの場合、初校、2校、3校と校正紙が出てくる。初校で入れた赤字が2校で直っていることを確認し、直し漏れを3校で確認して校了する。
しかし、得てして2校の方が初校より赤字が多くなり、3校でまた赤字が増えて「きりがないから」と怒られたりする。

とあるサイトの動画を作っていた時、商品を撮影したがどうもピンとこなくて、カメラマンに「もっと、なめるようにとうか・・・」と僕の漠然とした要求を伝えたところ、そのカメラマンはニヤリと笑って「こうですね」と言い、僕が望んだ絵を撮ってくれた。「これこれ」と僕も嬉しくなった。
要望に対してそれをクリヤーする、だけでなく、要望以上のクオリティ―に仕上げる。
そのカメラマンと同じく僕もライティングの仕事ではそうありたいと思っている。

修正されるのがいやなら自分のブログに書くのがいい

つまり、言いたいことは、

編集者という存在がある以上、ライターが書いたものは修正されることは前提条件。
その修正が気に入らなければ、そのクライアントと仕事を続けるべきではない。
どこのクライアントでも修正される。修正されることが嫌なら自分のブログだけで書いておくこと。
それがライターを続ける絶対条件だと思う。

もちろん、だからと言って書いたものは書きっぱなし、あとはどうでもいい、とは思っていない。書いたものは読み直すし、間違った直し方をされたらクレームは言うべきだと思っている。ライターの言い分が総てだとは思わないが、編集者の言い分も総てだとは思わない。そして、お互い、理解できず、相手と付き合うことが無理ならば別れた方がいい。
大橋博之
フォークラス・メディア編集部【ライター・エディター・プランナー】『Webライター入門』(技術評論社)を監修。著書に『SF挿絵画家の時代』(本の雑誌社)、『心の流浪 挿絵画家・樺島勝一』(弦書房)などがある。 twitter@garamonmini
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