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キュレーションメディアは近い将来、衰退して行くのは間違いない!

大橋博之
キュレーションメディアについて、Webライターはどうすれば良いのか?をちょっと真面目にいろいろと考えてみた。今後のキュレーションメディアの展望は?

キュレーションと意味を考えてみる

キュレーションメディアというのがある。
コトバンクによると、
IT用語としては、インターネット上の情報を収集しまとめること。または収集した情報を分類し、つなぎ合わせて新しい価値を持たせて共有することを言う。キュレーションを行う人はキュレーターと呼ばれる。
キュレーターの語源は、博物館や図書館などの管理者や館長を意味する「Curator(キュレーター)」からきている。

出典:https://kotobank.jp/word/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-189130

とある。
さらに、キュレーターとはWikipediaによると、
博物館における収集資料の研究に携わり、専門知識をもって業務にあたる点は日本の学芸員に相当する。キュレーター職は学芸員の中でも企画を担当する権限を有する人を指す。小規模の館では、キュレーター職がそのまま館長職を意味することもある。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

とある。

最近、YAHOO!ニュースなどで「旧約聖書「出エジプト記」が旅行ガイド? 海老名市立図書館の配架がちぐはぐすぎて不安視する声」
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6176413
という記事が出て話題になったことがある。

神奈川県の海老名市立中央図書館で蔵書検索をすると、旧約聖書の『出エジプト記』が「旅行/海外旅行/アフリカ/エジプト」に分類されていたというのだ。
これは、本来、図書館のキュレーターが本を収集する際、ちゃんとキュレーションして本を整理していなかったことが原因で起こった珍事だった。
博物館、図書館はあまり詳しくないので、僕の専門の美術、アートの方で語ろう。

Wikipediaのキュレーターのページには、
現代美術の世界においては、キュレーターは展覧会の企画者としての業務が重要である。これは、現代美術に携わる現役アーティストと社会との接点が主として展覧会であり、現代美術と社会の橋渡しをする存在としてキュレーターが重要な位置を占めるからでもある。
展覧会におけるキュレーターの仕事は、テーマを考え、参加アーティストやアート作品を選択し、しかるべき展示会場に好ましい効果を発揮するようにアート作品を設置し、カタログに文章を執筆することなどである。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

とある。

キュレーターの仕事は別に現代美術に限ったことではない。
僕が編集を担当させてもらった図録『美少女の美術史』(青幻社)は、もともと青森県立美術館+静岡県立美術館+島根県立石見美術館の3館のキュレーター(学芸員)が、「美少女」をキーワードに、江戸期の浮世絵から現代アートが描いた「美少女」を紹介する、という企画展だった。
まさに、3館のキュレーターがテーマを考えて、アーティスト、作品を選択し、展示会場に好ましい効果を考え展示する、というものだったのだ。

もう少し解りやすく言ってみよう。

イタリアのルネッサンス期を代表する芸術家のレオナルド・ダ・ヴィンチの作品には、「モナリザ」などの絵画もあれば、彫刻もある。さらに科学者としても有名で、解剖のスケッチや、戦車、飛行機のスケッチもある。
「レオナルド・ダ・ヴィンチ」というキーワードで何を展示するのか?はキュレーターの腕の見せ所となる。

『レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展』(2015年/東京富士美術館)はダ・ヴィンチの壁画「アンギアーリの戦い」をクローズアップした展示。

『レオナルド・ダ・ヴィンチー天才の挑戦 展』(2016年/江戸東京博物館)はダ・ヴィンチの思考を探るという展示。

つまり、レオナルド・ダ・ヴィンチというキーワードでいくつもの展示が可能となる。

このようにキュレーションするキュレーターは、アーティストや作品を深く理解し、何を選択し、どう構成すれば良いかを考え、見る者を解りやすくガイドする、というのが役割だ。

キュレーションメディアの意味を考えてみる

では、ちまたにあふれているキュレーションメディアは、本来の意味でのキュレーションをしているだろうか?
Webライターはキュレーションメディアをただ単にネット上にあるものを集めて並べるだけの、お手軽なものと理解してはいないだろうか?
または、オリジナルの記事を都合よく加工することと解釈してはいないだろうか?

本来の意味から言うとキュレーションメディアは、Webにあふれている情報から、Webライターがキュレーターというフィルターを通し、厳選し、読者が理解しやすいように構成することでなければならない。

Webライター=キュレーターに求められるのは、目的にあわせて情報を収集すること。そこに自分のフィルターを通してガイドする力だといえる。
ただ、単に情報を集めました、というキュレーションメディアは今後、どうなるのだろうか?僕は「キュレーションメディアは近い将来、衰退して行くのは間違いない!」と言いたい、ところだが、残念なことに決してなくなることはないと思う。

たとえば、「新宿で美味しいラーメン屋5つ」という記事をキュレーションメディアに書かなければいけないとしたら、その記事はネット上の情報から美味しいと評判の記事を5つピックアップして並べた記事ということになる。
記事が良いのか?記事を書いた人がラーメン通だから良いのか?そもそもそのラーメンは本当に美味しいのか?

本当なら新宿にあるラーメン屋総てを食べてみて、そこからベスト5を決めた情報の方が価値が高いに決まっている。
でも、よほどのラーメン通のWebライターでなければそんな記事は書けない。よって適当に検索で集めた記事を並べただけのものになってしまう。
じゃ、どうすればいいのか?というのはWebライター個々が考えるしかないんだろうね(と、弱気)、としか言いようがないのが今日この頃だ。
大橋博之
フォークラス・メディア編集部【ライター・エディター・プランナー】『Webライター入門』(技術評論社)を監修。著書に『SF挿絵画家の時代』(本の雑誌社)、『心の流浪 挿絵画家・樺島勝一』(弦書房)などがある。 twitter@garamonmini
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